自筆証書遺言の保管制度【富士宮市・行政書士斉藤事務所】
2021/02/12
自筆証書遺言について、今までメリット・デメリットを記載いたしました。
その中で、遺言作成者が亡くなった後に、その方が作成した自筆証書遺言を発見した相続人は、家庭裁判所に遺言書を提出して「検認」手続きをしないといけないとの説明をいたしました。
以前の記事で検認手続きについても触れましたが、この検認手続きについては手続きを行う相続人の方の負担が重くなってしまいます。
しかし、この検認手続きが不要となる制度が存在します。
それが、2020年7月10日から始まった「法務局における自筆証書遺言書保管制度」です。
法務局における自筆証書遺言書保管制度について
自筆証書遺言は、主に作成後の管理についてトラブルが発生することが多く、それを解消する為に創設された制度です。
自筆証書遺言では主に以下のようなトラブル(デメリット)がありました。
①遺言書を個人で管理しなければならないので、紛失や偽造・隠匿されるリスクがある
②形式の不備により無効になってしまう恐れがある
③遺言能力(遺言の内容を理解し作成する能力)について疑義が生じ揉める恐れがある
④発見した相続人は家庭裁判所に遺言書を提出して検認手続きをしないといけないため、相続人に若干の負担がある
しかし、保管制度を利用することにより以下のようなメリットがあります。
①法務局が本人確認の後、原本と画像データを長期間管理してくれる
②形式について、外形的な確認(全文、日付及び氏名の自書、押印の有無等)をしてくれる
③家庭裁判所の検認が不要になる
④遺言作成者が亡くなった時に、作成者が指定する相続人等1人に通知してくれる
このように、自筆証書遺言にあったデメリットの大半を解消してくれる制度となるため、自筆証書遺言の利用がしやすくなりました。
ただし、注意しなければならない点もあります。
・遺言書の形式については確認してもらえるが、内容については確認しないため無効となる可能性がある。また、作成についての相談にも応じない。
・事前に遺言書と申請書を作成してい法務局へ行く必要がある(事前予約制のため、作成していかないとその日に手続き出来ない可能性がある)。
・家族等による代理手続きはできず、遺言作成者本人が法務局へ行かなければならない(付き添いは可能)。
・写真付きの本人確認書類(免許証、マイナンバーカード、運転経歴証明書)が必要。
・遺言書の様式について指定がある。
・保管の申請一件につき、3900円の手数料がかかる。
上述のように、保管制度は今までの自筆証書遺言のデメリットをカバーできる制度となりますが、遺言書自体は自分で作成しなければならず、内容によっては無効となる可能性があります。
自筆証書遺言を自分で作成したが法的に問題ないか不安だ、作成したいけど作成の仕方が良くわからない、といったお悩みやご不明な点、ご相談などございましたらお気軽にお問い合わせください。
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