自筆証書遺言の検認について【富士宮市・行政書士斉藤事務所】
2021/02/05
以前自筆証書遺言について、自筆証書遺言を「発見した相続人は家庭裁判所に遺言書を提出して検認手続きをしないといけない」と説明いたしました。
この「検認」という言葉を普段耳にすることがないため、いったいどのようなもので、どのような手続きをすればいいのか戸惑ってしまう方も多いでしょう。
今回は検認について簡単に説明いたします。
①検認とは
- 「検認」とは,相続人に対し遺言書の存在とその内容を知らせるとともに,遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
- 自筆証書遺言を発見者が勝手に内容を改ざんしたり、破棄したりする可能性があります。そういったことを防ぐために、家庭裁判所に相続人が集まって遺言書の内容を確認し、そのときの状態を保存します。
- 検認が終わった後は,遺言書の執行(遺言書に従って財産の名義変更などを行うこと)をするために必要な「検認済証明書」の発行を申請します。
- なお、この手続きは遺言の有効・無効を判断するものではありません。
②検認の手続きの流れ
検認手続きを行う際は、以下のような流れとなります。
1.手続きの申立てをする人は、遺言書を保管していた人や、遺言書を発見した人となります。
2.遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に対して検認の申立てをします。
3.申立てをする際に以下の書類を用意します。
・遺言書の検認の申立書
自分で作成する必要があります。書式と記載例はこちらを参照ください。
・遺言者の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
本籍地のある役所に請求して取得します。場合によっては複数の役所へ請求する必要があります。
・相続人全員の戸籍謄本
各本籍地のある役所へ請求して取得します。
・遺言者の子で死亡している方がいらっしゃる場合,その子の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
本籍地のある役所に請求して取得します。場合によっては複数の役所へ請求する必要があります。
なお、遺言者の親や兄弟姉妹、配偶者のみが相続人となる場合には他に必要な書類があります。
4.申立てに必要な費用
・遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
5.検認期日の連絡
検認の申立てをすると,相続人に対し,裁判所から検認期日(検認を行う日)の連絡があります。申立人以外の相続人は検認期日に出席しなくてもよく,全員がそろわなくても検認手続は行われます。
6.検認期日
検認期日には,申立人が遺言書を提出し,出席した相続人の立ち会いのもと,裁判官が,封がされた遺言書については開封の上,遺言書を検認します(封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人の立ち会いの上で開封しなければならないことになっています。)。
7.検認済証明書の申請
検認が終わったら,「検認済証明書」の申請をします。この「検認済証明書」がないと遺言書の執行をすることができませんので、必ず申請を行います。なお、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。
③検認にかかる期間
検認の申立てをしてから検認期日までは、概ね1~2か月程度時間がかかります。しかし、申立てに必要な書類を取得するのに、場合によっては1か月以上かかってしまうこともあります。そのため、手続きが終わるまでに2~3ヶ月以上かかってしまうと考えていただいた方が良いでしょう。
自筆証書遺言の作成者が亡くなった場合には、このように検認の申立てを行わなければなりませんが、ご覧いただいたように手間がかかってしまいます。しかし、この申立てが面倒だということでしなかった場合には、5万円以下の過料に処されるおそれがあります。
発見した際にはすぐに家庭裁判所へ検認の申立てをしましょう。
なお、公正証書で遺言を作成した場合や自筆証書遺言の保管制度を利用していた場合には、検認の申立ては必要ありません。
ご不明な点、ご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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